デジタル国家として広く知られるエストニアですが、日本での認知度は、まだまだこれからです。今回は、日本のテレビ等で紹介されている、エストニアのデジタル社会に向けた取組みを紹介します。 世界一受けたい授業 日本テレビで12月17日(土)に放送された「世界一受けたい授業」では、デジタル庁の河野デジタル大臣が、世界のデジタル先進国を紹介する中で、エストニアで実施されている世界唯一の取組みを紹介しています。番組の46分過ぎぐらいから、河野大臣が登場します。 TVer:世界一受けたい授業(日テレ 12月17日(土)放送分) デジタル庁の目指すデジタル社会の展望 東京都デジタルサービス局が公開している、区市町村職員向け研修会のセミナー動画「デジタル庁の目指すデジタル社会の展望」では、デジタル庁でデータ戦略統括を担当されている平本様が、エストニアのデータ活用事例を紹介しています。電子政府におけるデータの重要性がわかりやすく説明されており、勉強になります。 多言語モバイル金融サービス GIG‐A(ギガー) GIG‐A(ギガー)は、本協議会の理事を務めるRaul Alikiviが、エストニアの経済通信省やベンチャー企業での経験を活かして新たに設立した、サブスク型多言語モバイル金融サービスで、在留外国人を対象とした使いやすい金融サービスの提供を目指しています。本サービスは、東京金融賞2021「金融イノベーション部門」で第1位となりました。 動画は、ICJ ESGアクセラレーター2021の紹介映像で、GIG‐Aは「協賛企業賞」を受賞しています。サービスの詳細は、株式会社UI銀行のプレスリリースをご覧ください。
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エストニアでは、新型コロナに関するPCR検査の結果やワクチン接種の実施を証明できるデジタル証明書が発行されています。
新型コロナのデジタル証明書には、次の3種類があります。 1 EUデジタルCOVIDテスト証明書 2 EUデジタルCOVID感染証明書 3 EUデジタルCOVID免疫証明書 「EUデジタルCOVIDテスト証明書」は、Sars-Cov-2のPCR検査の陰性結果を証明し、「EUデジタルCOVID感染証明書」は、同PCR検査結果が陽性であったことを証明します。「EUデジタルCOVID免疫証明書」は、COVID-19の予防接種を受けていることを証明します。 デジタル証明書は、エストニアの全国医療データベースである「健康情報システム」に記録される医療データに基づいて発行されます。 デジタル証明書が欲しい人は、健康情報システムと連携する患者ポータルにログインして、デジタル証明書の作成を指示すると、EUの要件に準拠した証明書が作成されます。3つの言語(エストニア語、英語、ロシア語)に対応したデジタルドキュメント(PDFドキュメント)としてダウンロードでき、スマートフォン等の画面で提示したり、印刷して利用することができます。親が子供の証明書を必要とする場合など、法定代理人も作成できます。 EU共通のデジタル証明書には、改ざんから保護するためのデジタル署名付きのQRコードが含まれています。証明書をチェックする際に、QRコードがスキャンされ、署名が検証されます。 デジタル証明書は、EU全域で有効ですが、特定の国への入国等を許可するものではありません。入国等の条件は国によって異なりますが、デジタル証明書を使用することで、自己隔離などの特定の制限が免除されることがあります。 デジタルCOVID免疫証明書(予防接種証明書)には、個人データに加えて、証明書番号があり、予防接種を受けた病気(COVID-19)、有効成分、免疫準備、ワクチンの販売承認保有者、投与回数、免疫化の日付と国、証明書発行者の詳細などが記載されます。 エストニアでは現在、欧州医薬品庁によって承認された4つのワクチン(AZ、ファイザー、モダーナ、J&J)が接種されています。 エストニアの新型コロナの感染状況等について、政府の公式データを見ながら解説しています。エストニアにも、日本の新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) と同じようなアプリ(HOIA)があり、日本と同じぐらいの割合(人口の2割ぐらい)でダウンロードされています。陽性登録率は約7%で、日本の登録率2%よりは少し高くなっています。
参考サイトは、下記の通りです。 コロナ統計データ https://www.koroonakaart.ee/en コロナウイルスデータ 健康委員会 https://www.terviseamet.ee/et/koroonaviirus/koroonakaart エストニア コロナ危機公式情報ポータル https://www.kriis.ee/ HOIAモバイルアプリ https://hoia.me/ 電子政府コードリポジトリ HOIA https://koodivaramu.eesti.ee/tehik/hoia エストニアの政府統計局の発表によると、 夏の3か月間(6-8月)、エストニアの宿泊施設に滞在する観光客は前年より41%減少し、外国人観光客は67%減少しましたが、国内観光は盛況でした。国内観光客数は同期間に0.2%増加し、8月の国内観光は前年同期比で8%増となりました。中でもパルヌ郡では、前年比32%の大幅増加となっています。
外国人観光客の多くは、エストニアへのアクセスが良いフィンランド、ラトビア、リトアニアから来ています。エストニア政府は、上記3国に対しては、入国制限の基準を大幅に緩和しており、原則として新型コロナ発生前と同じように行き来できます。 地域別では、新型コロナ感染者数が多く、首都タリンのあるハルジュ(ハリュ)郡への訪問者が減少しています。タリン市は、夏の観光シーズンで、外国人観光客に約90%依存しているからです。人口の多い都市部、特にハルジュ郡に住む人たちが、ハルジュ郡から離れたより安全な地域で夏季休暇を過ごすという傾向があったのではないかと推測できそうです。 エストニアでは、全人口の約3分の1が集中する都市部への人口流入が止まらず、地域の過疎化が進んできましたが、今回の新型コロナのパンデミックにより、地方で生活することのメリットが改めて注目されています。 デジタル化が進んでいるエストニアでは、リモートで仕事をする環境は整備されており、ほとんどの行政サービスがオンラインで完了することができます。田舎でのんびり暮らしながら、リモートで働くという生活様式を選択する人が、今回の新型コロナをきっかけに増えていくのか、それとも一時的なものなのかは気になるところです。 「最近のエストニアにおける新型コロナ感染者の増加について」で解説したように、タルトゥ大学が有病率調査を実施し、ランダム検査が増えている関係で、エストニア国内の感染者は増えていました。しかし、最新のデータを見ると、調査による感染者数の増加もピークを過ぎたように思えます。 日本でも、「Go To トラベルキャンペーン」が実施されていますが、一日も早く、多くの人々が安心して観光を楽しめるようになることを願います。 エストニア政府は、リモートワーカー向けの新しいデジタルノマドビザの発給を開始する予定です。デジタルノマドビザの特徴は、次の通りです。
・リモートワーカーが一時的にエストニアに最長で1年間滞在できる ・場所に関係なくオンラインで作業できる人(デジタルノマド)が対象 ・エストニア国外で雇用契約している、またはフリーランサーをしている ・申請の6か月前に、月額収入基準(3504ユーロ)を満たしている 例えば、日本で主にリモート作業で仕事をしていて、「エストニアで生活しながらリモートで仕事をしたい、たまに欧州旅行もしたい」といった人であれば、デジタルノマドビザの取得を検討しても良いでしょう。なお、日本人の場合、90日以内であればビザなしでエストニアに滞在することが可能です。 ★注意★ 2020年8月3日現在、日本からエストニアへの入国制限はありませんが、日本国内の感染者数が増えると、入国制限(到着後のウイルス検査と14日間の隔離等)の対象国になる可能性があります。目安として、日本全国の新規感染者数が毎日1500人ずつ増えるような状況が続くと、エストニアへの入国が制限される可能性が高くなります。 詳細は、エストニア外務省の「Information on countries and restriction on freedom of movement requirements for passengers」、または、駐日エストニア共和国大使館の「エストニアへ渡航を検討されている皆様へ」を確認してください。 2020年3月12日、エストニア政府は、世界でのコロナウイルスのパンデミックおよびエストニア国内でのウイルスのさらなる広がりによる緊急事態を宣言しました。政府が別段の定めをしない限り、緊急事態は2020年5月1日まで有効です。
The government declared an emergency situation in Estonia until 1 May 「ウイルスの拡散によって引き起こされた緊急事態は、緊急法で規定された指揮組織の実施なしではもはや解決できない」とラタス首相は述べています。 Political statement by Prime Minister Jüri Ratas in the Riigikogu, 12 March 2020 宣言の主な内容は、次の通りです。日本からエストニアへの訪問は、延期またはキャンセルするのが賢明です。 ・すべての公開集会は禁止する。 ・学校は通常の教室での学習を中断し、遠隔学習と家庭学習に切り替える。 ・大学および研究機関は、研究開発活動を継続する。 ・図書館は、限られた範囲でのみ開館する。 ・博物館と映画館は5月1日まで閉鎖する。 ・すべての公演、コンサート、会議は禁止される。 ・すべてのスポーツ競技は5月1日まで禁止される。 ・社会福祉施設、病院、拘留施設は訪問禁止の対象となり。 ・衛生検査を、国境検問所、空港や港で実施する。 ・入国時にフォームに記入し、滞在の期限を特定する。 ・リスク領域は、社会問題省と外務省により、毎日レビュー・更新される。 ・3月12日の時点で、高リスク国は、中国、イタリア、イラン、韓国、フランスの一部、ドイツ連邦、オーストリアのチロル州、日本、シンガポール、スペイン(マドリード、カタロニア、バスク)。 ・これらの国から到着したエストニアの居住者と外国人は、2週間隔離する。
残念ながら、ジェアディスとして来日記念イベントは開催できなかったのですが、「エストニア大統領が語るデジタル国家」などのイベントで、カリユライド大統領のお話を聞く機会を提供してくれました。 カリユライド大統領は、エストニアの独立後、初の女性大統領であり、就任当時46歳という史上最年少の大統領でもあります。エストニアでは、大統領に限らず、多くの女性が家庭と両立しながら重要なポストで活躍しています。 例えば、検察庁のトップであるペーリング検事総長や、憲法審査や人権保護を担う独立機関であるウルマディゼ司法長官の活躍などがあります。 また、女性医師の割合が高いことも有名です。OECDの最近の調査でも、女性医師の割合は73.3%と、ラトビア(74.3%)に次いで第2位となっています。これには、歴史的な経緯もあるようです。
写真出典:toolbox.estonia.ee
その一方で、女性の国会議員の割合(世界銀行データ)は、2018年時点で約27%と、日本(10%)よりは高いですが、まだまだ改善の余地があると言えます。 エストニアの人に、女性の活躍について尋ねると、よく返ってくるのが「女性は真面目でコツコツ勉強するので、専門知識や技術を学び資格を取得するような職業に向いているのではないか」というものです。そう言えば、インド人の友人からも同じようなことを聞いた記憶があります。日本からも、より多くの女性が、エストニアに留学して学ぶ機会が増えることを願います。 エストニアの経済通信省と国家情報システム局が提供する「電子政府コードリポジトリ」により、将来的には、セキュリティ上の理由から特に要求されない限り、エストニアのデジタル国家ソリューションのすべてのソースコードが公開され、誰でも使用できるようになると。 Estonia creates a public code repository for e-governance solutions データの再利用を進めるEUでは、オランダやマルタ共和国など、電子政府で使用するソースコードを公開している事例がありますが、総合的な電子政府コードリポジトリ(電子政府ソースコードの再利用サービス)を提供するはエストニアが初めてなのではないでしょうか。これは非常に重要な試みで、一般的な電子政府が最終局面に入ってきたことを意味します。 個人的には、いわゆるGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に対抗できるのは、徹底した透明性を自らの条件と課した“government as a service”を実現する政府であると考えています。 GAFAが取得し利用する個人データは大量ですが、法令の下で強制力を持って国民の個人データを収集・管理し、その処理に責任を持って対応できるのは国家として確立した政府だけだからです。エストニアの強みは、「国家として統合された情報システムとデータベースのガバナンスを確立している」点にあります。 もちろん、これはGAFAを政府が一方的に規制するということではなく、常にけん制しながらお互いのバランスを模索することを意味します。電子政府コードリポジトリがうまく機能すれば、官民連携が進み、人々が抱くGAFAへの漠然とした不安を和らげる効果も期待できるのではないでしょうか。 e-riigi koodivaramu (エストニア電子政府コードリポジトリ) https://koodivaramu.eesti.ee/ 電子政府における統一的な協力とソフトウェア再利用のためのコードリポジトリ。格納されているコードはすべての人に公開されており、公開されている政府コード全体が将来利用可能になる予定。現在は、最初のバージョンで、ロードマップの計画段階にあるとしています。 Open Government Data Portal https://opendata.riik.ee/en/ オープンデータは重要ですが、政府全体のデータガバナンスが確立していない状態で進めると、実現するためのコストは高くなり、データ品質や信頼性の維持も困難になるので注意が必要です。 『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来』小島 健志 (著), 孫 泰蔵 (監修)を、Kindle版で読みました。
著者の小島健志氏は、毎日新聞社や週刊ダイヤモンド編集部といった経歴だけでなく、データサイエンティストでもあるとのこと。堅実な取材とデータに基づきながら、読み物としても大変面白くなっています。 ジェアディスのラウル理事と前田代表理事による『未来型国家エストニアの挑戦 電子政府がひらく世界 (NextPublishing) 』が、電子政府を中心としたテーマで構成されているのに対して、『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来』は、よりビジネス、特にスタートアップ企業に注目した内容になっています。私自身も、とても勉強なりました。 『未来型国家エストニアの挑戦』が出版されてから3年以上が経過しましたが、その間にもエストニアのデジタル施策は着実に進んでおり、特に小回りの利く民間企業の活躍には目が離せません。 本書に出てくるキーワードは、スマートコントラクト、ブロックチェーン、データ個人主権、仮想住民(eレジデンシー)、グローバルフリーランサー、デジタルノマドビザ、エストコイン、エストニアン・マフィア、トークン・エコノミー、ロボット開発授業、eスクールなど、一般の人にはあまりなじみが無いかもしれませんが、未来を感じさせるワクワクできるものが多いです。 折しも、日本では「デジタル手続法案」が閣議決定を経て、第198回通常国会に提出されました。しかし、デジタル手続法案の概要を見ると、これまでと同様に「紙による手続きの一部についてデジタル化を推進する」といった内容にとどまっているように感じます。 本書で特に良かったと思うのは、自己肯定感を育てるために「世界は変えられる」という体験を与える仕組みが、エストニアの教育システムやキャリアパスの中に組み込まれていることを指摘している点です。 それは正に、これからの未来を担う子供たち、若い世代への投資であり、希望ある「つまらなくない未来」を作り出すエネルギーなのだと思います。 「何だってできるし、何にでもなれる」「自分たちの未来は明るい。社会は変えられるし、世界も変えられる」、日本の若い世代が、そんなことを当たり前に思える社会になるように、ジェアディスでは日本におけるデジタル化を推進していきます。 国内外におけるエストニア文化の啓蒙や研究活動を行う非政府文化機関「エストニア協会(Estonian Institute)」が、2019年9月23日から29日に開催予定の「第1回世界エストニア語学習週間」に向けて、エストニア語を学ぶ人たち、エストニア語の学習を支援してくれる人たちの参加を呼びかけています。 エストニアでは、英語教育が充実しており、様々な公共サービスが英語対応していますが、国の公用語はエストニア語です。主要な法律は英語に翻訳されていますが、法的な効力が保障される原典はエストニア語とされています。エストニア語は、フィンランド語に近く、ロシア語の影響は少ないそうです。 協会が目標としているエストニア語の学習者数(簡単な挨拶や単語の学習も含めて)は300万人で、エストニア語を学べるサイト「Opime eesti keelt!(エストニア語を学ぼう!)」も開設しています。 これを機会に、あなたもエストニア語を学んでみませんか。 写真(エストニア政府通信ユニット) 「eサービスには、ユーザーを識別するための信頼できる安全な方法が必要です。エストニアは、20年間にわたり市民の日常生活を簡素化するためにデジタル社会とeサービスを構築しました。信頼できるデジタルアイデンティティが、エストニアのイノベーションと起業家精神を促進しました」とラタス首相は述べています。 また、公共部門がイノベーションと新しい技術の導入を刺激するための模範を示すことができるとも述べています。エストニアのICT政策の基本方針では、政府・公共部門の役割を重視しています。デジタル国家を実現する際には、民間と連携しながらも、国が率先して自ら模範を示すことで、民間のイノベーションを促進してきました。 写真(エストニア政府通信ユニット)
ラタス首相は、次のように語ります。 「政府が、イノベーションを促進する起業家の環境を確保しなければならない。自動運転であろうと人工知能であろうと、法律は急速な技術開発に遅れないようにしなければならない」と。 この指摘は、非常に重要です。エストニアでは、1990年代から法律の近代化を進めて、現在も日進月歩で法律を改正しています。エストニアの法制度は、人々の幸福を最大化するために、コンピュータがその能力を発揮しやすいように設計されています。オンラインのデータ処理と自動化を前提とした住民登録法(Population Register Act)や公共情報法(Public Information Act)は、その代表例です。 さらに、ラタス首相からの「より効果的な欧州の単一デジタル市場では、サイバー脅威との強固な戦い、そしてもちろん、国境を越えたデータの自由な移動をサポートする強力なデジタルIDが必要」という指摘も重要です。 日本でも、2019年1月31日に、トラストサービス検討ワーキンググループ(第1回)が開催されて、「人の正当性を確認できる仕組み、組織の正当性を確認できる仕組み、モノの正当性を確認できる仕組み、データの存在証明・非改ざん証明の仕組み、データの完全性と送受信の正当性の確認を組み合わせた仕組み」などの検討が始まりました。また、個人情報保護委員会等の尽力により、日本とEU間の相互の円滑な個人データ移転を図る枠組みが、2019年1月23日に発効したところです。 今後は、デジタルアイデンティティを始めとしたトラストサービスについても、日本とEU間の相互運用を可能にすることで、日EU間の円滑な個人データ移転における安全性・信頼性・実効性を確立していくことが大切と考えます。その際には、エストニアにおける「法律の近代化」の取組みを参考にしてもらえればと思います。 2018年12月20日、エストニアで初の5Gネットワークが、タリン工科大学のキャンパス内に開設されました。スウェーデンの電気通信事業者「テリア」と、同じくスウェーデンの通信機器メーカー「エリクソン」との共同事業です。 eヘルスでも重要な役割を担う、エストニアのイノベーション拠点の一つであるタリン工科大学に設置された5Gネットワークは、オープンな試験用プラットフォームとして機能します。研究者・学生・企業(新興企業を含む)は、高速で高品質のデータ接続を必要とする製品やサービスを作成しテストできるようになりました。 5Gネットワーク活用の第一弾として、タリン旧市街のクリスマスマーケットから4K映像のライブ配信を行ったとのこと。 タリン工科大学では、自動運転車(Iseauto)の開発が行われており、高速かつ低遅延の通信が必要となる同分野での5Gネットワーク活用が進みそうです。 テリア社は、2019年にも一般住民用の5Gネットワークをエストニアに開設する予定があるそうなので、これからエストニアに訪れる人は、5Gネットワークを体験する機会があるかしれませんね。 Estonia to promote its eResidency in the USA
https://joinup.ec.europa.eu/node/145414 エストニアの政府機関RIA(Information System Authority)が、米国でeResidency(電子居住) のキャンペーンを実施する予定です。 2015年8月現在、83の国から2000人の事業者がeResidencyに参加しており、1500以上の申請が処理待ちの状態にあります。特に、エストニアと関係が深いフィンランド (26 %)とロシア(12 %)からの参加が多いようです。 日本からの参加もすでに100名以上と聞いていますが、さらに人数が増えるよう、今後もeResidencyプロジェクトを応援していきます。 参考サイト: e-Residency - e-Estonia https://e-estonia.com/e-residents/about/ 2015年9月24日(木)、駐日エストニア共和国大使館で、e-Residency(電子居住)のIDカードを無事に受け取ることができました。 今回は、e-Residencyの申請からIDカード受取までの流れを紹介します。 (1)e-Residencyの申請 エストニア e-residencyの申請についてで紹介した、オンライン申請を利用しました。 事前に用意したのは、 1 顔写真(縦5cm×横4cm:スマホで撮影したものを加工) 2 パスポートの写し(多機能プリンターでスキャンしました) 3 クレジットカード(Visaかマスターカードが必要) あとは、オンライン申請フォームに必要事項を記入するだけです。 申請フォームのイメージ ![]() 記入するのは氏名、出生地、生年月日、性別、カード受取希望場所などですが、英語で簡単な「申請の動機」を書く必要があります。英語に自身が無い人は、とりあえず日本語で書いて、グーグル翻訳などを使うと良いでしょう。 申請手数料は、50.99ユーロ。申請時の換算で、7,261円でした。 申請完了の画面 (2)申請の処理 申請の処理時間は、約1ヶ月ほどです。経過は、全て電子メールで連絡されます。 注意したいのが、「迷惑メールのフィルターにひっかかる可能性」です。 連絡メールは、英語・エストニア語・ロシア語で書かれているため、Gmailのフィルターにかかってしまいました。2-3日経っても「申請の受付メール」が届かない場合は、「迷惑メール」のラベルをチェックした方が良いです。 私の場合、次のような経過で、約1ヶ月かかりました。 2015年8月13日 申請の完了(支払完了後に自動返信) 2015年8月14日 申請の受付(処理機関は警察・国境警備隊) 2015年8月27日 申請の許可(IDカードの発行) 2015年9月16日 カード受取日の確認(エストニア大使館から) 2015年9月16日 カード受取希望日を返信、希望日OKの返事 2015年9月24日 エストニア大使館でカードの受取 2015年9月25日 電子証明書の利用可能の通知(警察・国境警備隊から) 「申請の受付」から許可不許可(処分結果)の通知までは、10営業日以内と決まっているようです。 エストニアでは、Identity Documents Act (身分証明書法)という法律に基づき、警察・国境警備隊(Police and Border Guard Board)が市民権の決定や公的身分証明書の処理機関となっており、e-residencyのIDカード発行も警察・国境警備隊の所管です。 ただし、電子証明書の発行については、SK (Certification Centre, legal name AS Sertifitseerimiskeskus) という団体が行っており、いわゆる認証局(certification authority:CA)の役割を担っています。 (3)カードの受取 エストニア大使館でカードの受取は、次のような流れです。 1 予約した日時に大使館を訪問 (JR原宿駅から歩いて15分ぐらい) 2 担当書記官(兼領事)と簡単な挨拶をしてパスポートを提示 3 パスポートで本人確認しながら、パソコンで申請処理 4 両手人差し指の指紋をスキャン登録 (オンラインデータベースへ) 5 e-ResidencyのIDカードと付属品一式の説明 時間にして、15-20分ほど。やり取りは全て英語なので、英語が苦手な人は、英語ができる人を通訳として連れて行きます。 この後、(最初の挨拶の時にお願いしておいた)記念写真の撮影を済ませて、私たちの組織「日本・エストニア/EUデジタルソサエティ推進協議会(JEEADiS ジェアディス)」の名刺を渡しました。 担当書記官のトーマスさんは、とても親切でした。 記念写真も、色々と角度を変えて撮ってくれたり、「名刺を渡しても良いですか」と尋ねたら、ご自分の名刺を2階まで取りに行ってくれたりで、エストニアの印象がまた良くなりました。 エストニア大統領の写真と記念撮影 (4)IDカードと付属品一式 IDカードと付属品一式は、次の通りで、エストニアの国旗にもあるブルーの箱に入っています。 1 デジタルIDカード 2 カードリーダ(USB接続) 3 暗証番号等が書かれた封書 4 電子証明書の利用条件(注意事項)の書面 IDカードと付属品一式 IDカードの券面はシンプルです。記載事項は、氏名、有効期限、文書番号、個人番号の4つだけ。e-ResidencyのIDカードはオンライン利用限定なので、顔写真はありません。ICチップには個人情報は記録されず、2種類のキー(秘密鍵)だけを記録しています。 エストニアでは、氏名と個人番号は、完全な公開情報です。 e-ResidencyのIDカードを利用する際にも、「氏名と個人番号が公開される」ことを、本人が知り同意することになっています。もちろん、私の氏名と個人番号も公開されます。 The certificate owner is aware that their name and personal identification code are processed and published in the database of valid certificates. (電子証明書の利用条件より) 例えば、企業の登記情報サービス(基本情報は無料)で検索すると、企業の「代表者の氏名と個人番号」が表示されます。これらは、誰でも自由に閲覧できる情報です。 もちろん、氏名と個人番号以外の個人情報へアクセスする場合は、法令に基づく根拠と権限が必要になります。 日本のマイナンバー制度では、マイナンバー(個人番号)を広く社会に流通させながらも、あたかも秘密情報のように扱うことになっています。他方、エストニアでは、氏名と個人番号を公開することで、本人の自己情報コントロールがしやすくなると考えているようです。個人番号を追跡・検索キーとして使えば、自分の個人情報がどこにあるのか簡易・迅速に追跡できるからです。 付属のカードリーダ カードリーダは、携帯しやすい折りたたみ式で、デザインも悪くありません。内部を回転させるとUSB接続端子が出てきます。 エストニアのIDカードは接触型なので、日本のSuicaのような使い方はできません。カードリーダに、読取面を間違えないようにして、しっかり差し込む必要があります。 暗証番号(PIN)は、認証用(digital identification)が4桁の数字、署名用(digital signature)が6桁の数字になっています。 個人番号と異なり、暗証番号は「秘密情報」なので、他人に知られないよう、気をつけて管理する必要があります。 暗証番号が書かれた封書には、暗証番号に加えて、「PUK」と呼ばれるコードも書かれています。PUK(Personal Unlock Key)は、暗証番号を何回も間違えて入力してロックしてしまった状態を解除するために必要なコードです。 電子証明書の利用条件(注意事項)には、用語の定義、一般条項、電子証明書保有者の権利と義務、(電子証明書保有者と認証局の)責任範囲、電子証明書の有効性と有効性検証、個人データの処理などを含み、緊急時の連絡方法も書いてあります。 電子証明書の利用条件(注意事項)は、下記のウェブサイトで閲覧することができます。 Conditions for Use of Certificates Issued for Identity Cards, Residence Permit Cards and Digital Identity Cards https://www.sk.ee/en/repository/conditions-for-use-of-certificates/ IDカード(電子証明書)の実際の利用については、後日、また紹介したいと思います。 |
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一般社団法人 日本・エストニアEUデジタルソサエティ推進協議会
Japan & Estonia EU Association for Digital Society ( 略称 JEEADiS : ジェアディス)
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