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利用者中心で考える、エストニアにおける自治体情報システムの統合(幼稚園の入園申し込み)

3/3/2025

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エストニアでは、各市町村が利用する情報システムについて、国が無理に中央で統合することはしないで、利用者中心の視点で事前の調査・分析を行うことで、問題の背景を明らかにしています。

例えば、法律で基礎自治体の責任とされる幼児教育サービスの提供については、調査の結果、親にとっての悩みは、幼稚園入園の申請自体の技術的な問題ではなく、申請書を提出した後、子どもがいつどこに入園できるのか、いつ仕事に戻れるのかなどの情報が、大規模な(人口密度が高い)自治体で不足していることが判明しました。

また、自治体の幼稚園の受け入れ能力には大きなばらつきがあり、サービス提供側にボトルネックがあり、地域によっても異なることもわかりました。例えば、即日入園できる自治体もあれば、将来的に入園できる日がまったく予測できず、いつ入園できるか分からない自治体もあります。理由は様々ですが、主な問題は「過密な地方自治体における幼稚園の定員不足」でした。

技術的な分析により、「自治体の約半数には、住民が電子的に幼稚園の入園を申し込める情報システムがない」ことも判明しましたが、これはあまり問題ではありません。上述したように、親にとっての悩みは「幼稚園入園の申請自体の技術的な問題ではなかった」からです。

また、「電子的に幼稚園の入園を申し込める情報システムがない自治体」も、入園申し込みの申請書を、RTF(ワード等で記入可能)やPDFファイルをウェブ提供して、デジタル署名によるメール提出を受付けています。申請書自体もA4一枚のシンプルな様式で、子供の両親の個人番号や氏名・住所(住民登録または実際の)を記入して、希望事項などを補足するだけなので、申請自体はほとんど負担にならないのです。

これらの調査結果から、地方自治体は自治権を持っており、市町村ごとに幼稚園の入園に関するルールが異なっているため、単一の中央サービスポータルでオンライン申請等のサービスを提供することは困難で、その必要性も低いとされました。それよりも、「将来の親に適切なタイミングで情報を提供することが重要である」と考えて、「プッシュ型で個別化された必要な情報を提供する」ようにすることが、今後のイベントサービスや積極的サービスの課題であるとされました。

「利用者中心」という言葉は、エストニアと同様に日本の電子政府でも使われてきましたが、それが意味することの理解と実践は、調査や分析といった地道な作業の積み重ねにより実現するものであると言えるでしょう。
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デジタル国家を支えるエストニアの教育システム

19/12/2022

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今年最後のオンライン勉強会を、下記の内容で開催しました。

​日時:2022年12月17日(土) 18:00-19:30(質疑応答、意見交換を含む)
テーマ:デジタル国家を支えるエストニアの教育システム
・エストニアの教育制度(幼児から大人まで)、IT教育、起業家教育、キャリア教育、教育関連の情報システムなど
進行・解説:ジェアディス理事  牟田学​

電子政府の先進国として知られるエストニアは、デジタル国家を作り上げていく過程で、常に教育への投資を重視してきました。

人口約130万人ほどの小さな国であるエストニアは、出生率の低下により少子化が進み、他国へ輸出できるほどの天然資源もありません。そんなエストニアにとって、最も貴重な資源は「人」なのです。積極的な教育への投資は、政府や国民が「人」を大切にしていることの表れと言えるでしょう。
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エストニアにおける教育への投資は、確実に成果を上げています。2006年から参加しているPISA(OECD生徒の学習到達度調査)では、2018年にエストニアが欧州ランキングトップになりました。
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エストニアでは、IT教育はもちろんですが、キャリア教育や起業家教育にも力を入れています。その成果として、エストニアは起業活動が盛んな国(世界 1位)、人口当たりの起業率が高い国(EU 1位)、人口当たりユニコーン企業数が多い国(EU第1位)になりました。
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エストニアの情報政策の基本原則では、最終的なゴールは社会全体の幸福(Well-being)としていますが、各国の幸福度の指標例として、国連の「世界幸福度報告(World Happiness Report)」があります。

このレポートでは、次の6つの変数を測定して国際ランキングを作成しています。

・一人当たり実質GDP
・ソーシャルサポート(家族や友人などを含む社会的支援)
・健康寿命
・人生の選択の自由
・寛大さ(寄付など)
・腐敗の認識

エストニアのランキングは、2016年72位、2017年66位、2018年63位、2019年55位、2020年51位と続き、最新の2022年は36位(日本は54位)と大きく上昇しています。教育への投資には、すべての世代における人生の選択肢を増やしてくれる可能性があります。

エストニアの教育制度では、保護者や本人の希望に応じて、あらゆるレベルの教育が、原則無償で受けられます。エストニアの教育ツリーは、どのようなルーツの人も希望する道(枝)を選択できて、どの道を選んでも、いつでも別の道(枝)に移動できることを示しています。
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IT教育について、エストニアと日本の GIGAスクール構想 との大きな違いは、エストニアでは「1人1台端末」を政府が用意するといった発想が無いことです。

2011年頃から、BYOD (自分のデバイスを持ち込む)を採用する学校や自治体が増えてきたことを受けて、2014年に政府が教育分野におけるBYOD を国の方針としました。BYOD は、学校の端末管理の負担を減らすだけでなく、「端末を自宅に持ち帰って良いのか?」といった不毛な議論に貴重な時間を費やす必要もなくなります。
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エストニアでは、2014年に政府が教育分野におけるBYOD (自分のデバイスを持ち込む)を決めるよりも前に、電子政府にBYODの実績がありました。BYODを実践し、自らその安全性を示していたのは、閣僚メンバーを中心とする政治家でした。悲しいことに、日本の政府やデジタル庁が進める最新の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」には、立法や政治家のデジタル化についての記述がありません。
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エストニアでは、就学前の幼児教育からITを学ぶ機会がありますが、教育レベルに応じた考え方が整理されています。​教師が使用するIT学習ツールの例を見ることで、その一端を理解できるかもしれません。なお、エストニアでは、教科書を含むすべての学習教材(専門家のレビュー済み)が、クラウド上のオンラインサービスで公開されています。
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エストニアの基礎教育(義務教育)の情報学における「学習と教育の目標」を見ると、子供たちが自分の身を自分で守れるようになるITリテラシーを重視していることがわかります。
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エストニアのデジタル国家は、「データ駆動型の国家」と言い換えることもできますが、それは教育分野にもあてはまります。教育上の決定の背後にあるデータを知ることが、エストニアのデジタル教育の成功要因を探る、一番の近道と言えるでしょう。教育データは、法令に基づいて様々な用途で再利用されています。
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