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電子投票における生体認証の実装の分析:インターネット投票で顔識別(facial recognition)の利用は可能か?

1/9/2021

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Cybernetica社のサイバー専門家によって作成された「電子投票における生体認証(biometrics)の実装の分析(技術文書:バージョン1.1)」が公開されました。本文書を読み解くことで、エストニアの電子投票の仕組みの理解が深まる内容になっています。

電子投票における生体認証の実装(2021年7月2日:エストニア語)

技術的な実現可能性、法的な問題、開発作業量の評価などを含む本分析では、電子投票に顔認識(facial recognition)を実装することは可能だが、プライバシー侵害と技術の複雑さの増大により、現在の「メリットを上回る可能性のあるリスク」を追加しています。

電子投票システムの技術面を支援するエストニア情報システム局(RIA)の見解では、「現在、顔認識技術について合意されたセキュリティ基準はなく、一度に多数の人々によって使用されるという広範な公的慣行がない」ので、電子投票において顔認識を使用するためには、「プライバシー、アクセシビリティ、および一般的なサイバーセキュリティに関する長期的なテストと事前の公開討論が必要である」としています。電子投票での顔認識の利用については、かなり慎重であると考えて良いでしょう。私もこの見解は賢明であると思います。

エストニアでは、これまでに11回のインターネット投票が全国規模で実施されており、投票の検証や監査機能など、何度もシステムが改善されてきました。そのセキュリティの中心には、投票者を特定するデジタルID(デジタルアイデンティティ)があります。顔認識を利用する場合でも、投票者がIDカードの本人と同じであることを保証する必要があります。

顔認識については、エストニアでも電子公証などで既に導入実績がありますが、制御された環境での公証人が関与する電子公証と、多数の市民が様々な環境からリモートで参加する電子投票では、考えなければならないリスクシナリオや、顔認識導入によるシステム全体(規約の見直し、追加のハードウェア、使いやすさの低下など)への影響はかなり異なります。データ保護の影響評価など、GDPR上の措置も必要になります。

しかし、電子認証・署名の機能を持つIDカードの利用も、完璧ではありません。これまでに有罪判決はありませんが、介護施設における高齢者のIDカード利用で、施設長などが起訴されたことは何度かあります。また、モバイルデバイス上で実行されているマルウェアによるモバイルIDの悪用の理論的な可能性も認識されています。インターネット投票で、電子認証・署名に加えて、さらに顔認識を導入することで、より安全性が高まる可能性があります。注意:もちろん、電子認証・署名の代わりに顔認識を利用することではありません。

以前紹介したように、エストニアには「自動生体認証データベース(ABISデータベース)」が構築されているので、このABISデータベースに対して特定の顔写真データを照会することは可能です。ただし、ABISの顔写真データは独自の個人識別子を使っている(氏名や生年月日、個人識別コードを直接結び付けていない)ため、電子投票で利用する場合は少し工夫が必要になります。

インターネット投票に顔認識を導入する方法としては、顔認識の結果を投票への電子署名の一部に組み込んだり、顔認識結果のリンクを挿入したり、暗号化した顔写真を監査時に検証する等が考えられるでしょう。

電子投票は、エストニアの憲法で保障された選挙権(投票の自由、均一性、普遍性、直接性および秘密性の原則)の行使を、インターネット上でも実現するためにあります。この原点を忘れることなく、より便利で安全なインターネット投票とするために、今後のさらなる検証に期待したいと思います。
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