エストニアのタリンで、政府の協力の下、CybExer Technologiesなどの民間企業が開催するサイバー演習「CYBER CoRe 2019 (Cooperative Resilience)」が、2019年3月28日から31日まで行われています。 Unique cyber exercise for the private sector is taking place in Tallinn 演習に参加するのは、オランダのハイネケンや英国のアーンスト・アンド・ヤング(会計コンサルティング企業)などグローバル企業のサイバーセキュリティ専門家、エストニアの重要な情報インフラストラクチャ企業(電力会社のEleringとEesti Energia、トラストサービスを提供するSK ID Solutions AS、銀行など)、オランダのサイバー警察、エストニア財務省の情報技術センター、タルトゥ市などです。また、米国の防衛産業企業であるRaytheon Internationalの上級エキスパートがオブザーバーとして参加します。 電力会社が参加しているのは、電気事業者のITシステムのサイバーセキュリティを担う民間企業が、セキュリティ基準が低いEU非加盟国の小規模ソフトウェア開発会社を買収しているといった事情が背景にあるようです。 関係者は、情報インフラ企業に、複雑で不明確なサプライチェーンや調達メカニズムがあると、コスト削減のために、監視が及ばず信頼できない国からセキュリティソリューションを購入することがあるとしています。 また、今回の演習より少し前の2019年3月25日に、エネルギー会社へのサイバー攻撃を想定したエストニアとフィンランドの共同演習も実施されています。 エストニアのセキュリティ事情については、2007年に大規模なサイバー攻撃を受けたこと、ブロックチェーンの技術が政府の情報システムで採用されていること、NATO共同サイバーディフェンスセンターの本部があることなどが説明されますが、実際にやっているのは、かなり地味で地道な作業の積み重ねです。 政府が保有する情報システムやデータベースについては、公共情報法や関係法令で定めるセキュリティ基準を満たすことが義務付けられており、定期的な監査を受けることになっています。 例えば、エストニア国内の医療データを共有・交換する「健康情報システム」の「医療データ」については、セキュリティレベルは「高」で、データの完全性についてはT3(最高クラス)となっています。
T3というのは、法令で定義する「完全性」を「リアルタイムで保証する」というものです。このような基準に従って、「データの完全性をリアルタイムで保証するためには、どのような技術を使ったソリューションを採用すれば良いか」と考え、費用対効果を含めた最適な手法を採用し実装することになります。 エストニアの政府情報システムについては、標準化も進んでいます。標準化については、エストニア標準化センター(EVS)が重要な役割を担っています。 エストニア最大のスタートアップイベント・技術会議「Latitude59 2019」(@Latitude59)が、2019年5月16日と17日に開催されます。 イベントへの参加が予想されるのは、200人の投資家、150人のスタートアップ起業家を含む2,500人以上で、日本からの参加者も少なくありません。 昨年の様子は、「エストニア最大のスタートアップイベント「Latitude 59」2日目 起業国家が放つ「スタートアップを生み出すのは子供たち」というメッセージ - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)」で紹介されています。 Latitude59 2017 の映像 Latitude59 2018 オープニング討論:Data, democracy & tech Latitude59は、起業家を支援するエストニア政府の施策「eレジデンシー(電子居住)」と連携しており、その一環としてeレジデンシー取得者をLatitude59へ招待してくれるプログラム「Win a trip to Estonia & showcase your company at Latitude59!」を実施しています。 招待プログラムへの参加は簡単で、2019年3月31日までに申し込みフォームに必要事項を記入して送信するだけ。今年の質問は、「事業を構築する上での最大の課題は何でしたか?」です。 参加要件は、 1 有効なeレジデンシーIDカードを保有している 2 エストニアに会社を登記している 3 18歳以上である などです。利用規約を確認した上で申し込んでください。 今年は3名の招待を予定しています。その特典は、 ・最寄りの空港からの航空チケット(最大800ユーロ) ・3泊の宿泊施設 ・Latitude59のチケット ・e-Residencyブースでの会社スペース この機会を利用して、あなたの会社を世界の投資家にPRしてください! 国内外におけるエストニア文化の啓蒙や研究活動を行う非政府文化機関「エストニア協会(Estonian Institute)」が、2019年9月23日から29日に開催予定の「第1回世界エストニア語学習週間」に向けて、エストニア語を学ぶ人たち、エストニア語の学習を支援してくれる人たちの参加を呼びかけています。 エストニアでは、英語教育が充実しており、様々な公共サービスが英語対応していますが、国の公用語はエストニア語です。主要な法律は英語に翻訳されていますが、法的な効力が保障される原典はエストニア語とされています。エストニア語は、フィンランド語に近く、ロシア語の影響は少ないそうです。 協会が目標としているエストニア語の学習者数(簡単な挨拶や単語の学習も含めて)は300万人で、エストニア語を学べるサイト「Opime eesti keelt!(エストニア語を学ぼう!)」も開設しています。 これを機会に、あなたもエストニア語を学んでみませんか。 2019年2月20日に開催された「第4回新戦略推進専門調査会デジタル・ガバメント分科会、第25回各府省情報化専任審議官等連絡会議 合同会議」で配布された「エストニア・e-Governance Academyによるデジタルガバメント研修参加報告及びご提案」の資料が公開されています。 同資料によると、今回の研修の目的は、「エストニアのデジタルガバメントの実践を体系的に理解し、日本の取り組みの参考とするため」とあります。 エストニアのデジタルガバメントについては、その概要や取組事例を知ることができる「e-Estonia Briefing Centre(e-Estonia Showroom)」がありますが、より本格的に学びたい人は、デジタルガバメントに関する研修トレーニングやコンサルティングを実施する「e-Governance Academy (eGA)」がおすすめです。 16年以上の歴史があるeGAは、先進国から新興国・発展途上国まで、世界各国の政府に対して様々な事業を実施しています(写真:eGAウェブサイトより)。 最小限の費用で大きな効果を上げているエストニアのデジタルガバメントは、これから発展しようとする小規模な国家にとって、特に魅力的に映ることでしょう。 「eガバナンスアカデミー年鑑2017」を読むと、eGAのこれまでの取組みを概観することができます。 今回の参加報告では、研修受講者が、アスコエパートナーズ株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所、日本経済新聞社、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社となっており、残念ながら日本の政府関係者の参加は無かったようです。 5日間と短期間だったせいか、研修内容も視察が中心となっていますが、研修参加者の方々からのコメントを見ると、評判は良かったみたいですね。 「今般の研修結果を踏まえ、本邦関係者のニーズを反映したデジタルガバメント研修を eGAとの連携により企画致します。(申し込み方法は別途正式にご案内予定)」とありますので、興味のある方は参加されてはいかがでしょうか。 |
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6月 2023
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一般社団法人 日本・エストニアEUデジタルソサエティ推進協議会
Japan & Estonia EU Association for Digital Society ( 略称 JEEADiS : ジェアディス)
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