エストニアのデジタル国家では、公的データベースのガバナンスが法制度として確立していることを前提として、組織や分野を越えた情報交換の仕組みとして、X-Roadを採用している。X-Roadを利用して様々な個人データをインターネット上で安全に交換するために、X-Roadの維持管理において特にセキュリティを重視している。
X-Roadのデータ交換は、「X-Roadメッセージ」という形式で行い、メッセージを送信する組織の秘密鍵によって署名され、すべてのメッセージがログに記録される。この時、メッセージヘッダーとメッセージ本文の両方がログに記録されるが、ログを暗号化して保存するかは、各組織(セキュリティサーバ)の管理者で設定する必要がある。 X-Roadのセキュリティで問題とされることの一つに、「政府が定めるセキュリティ標準の実装が義務付けられる公的機関と、そうした義務のない民間企業との差」がある。もちろん、両者の差を埋めるためにセキュリティサーバ(データ交換のセキュリティを確保するための共通ソフトウェア)があるのだが、X-Roadに参加する民間企業には、セキュリティサーバの設定や運用について裁量となる部分が、公的機関よりも広く残されている。 ログの主な役割は「否認防止」であるため、X-Roadによって処理されるすべてのメッセージは「デジタル証拠」として採用できるようにしてある。 否認防止を有効にするためには、「データ交換の完全性」と「メッセージとX-Roadメンバー間の繋がりの識別」を事後に確認できる必要がある。具体的には、欧州eIDAS規則に準拠するeシールとタイムスタンプを使用しているが、この措置はX-Roadの根拠法令で明確に規定している。 Xロードのログには、監査ログ、メッセージログ、システムサービスログの3種類がある。監査ログは、リクエストの結果が成功か失敗かに関係なく、ユーザーが構成したシステム状態または構成への変更が記録される(セキュリティサーバおよび中央サーバ)。 X-Roadは、収集、記録、整理、保管、変更、開示、個人データへのアクセスの許可など、個人データに対して実行されるすべての操作で、欧州の一般保護データ規則(GDPR)に準拠する義務がある。ログを「デジタル証拠」とするためには、識別が必須となるため、X-RoadのログもGDPRの適用対象となる。 図表:X-Road Security Architecture
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3月 2024
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