エストニアでは、2019年3月に国政選挙が実施されました。日本でも、元大関の把瑠都さん(カイド・ホーベルソン氏)が国会議員になったことが報道されたので、ご存知の方も多いと思います。 元把瑠都が国会議員に エストニア、対日交流尽力:日刊スポーツ エストニアでは、2005年の地方議会議員選挙からインターネット投票を導入し、2007年には国政選挙でも採用されました。現在は、国会選挙、地方議会選挙、欧州議会選挙、国民投票でインターネット投票が可能になっています。2019年6月現在までに10回の選挙でインターネット投票が実施され、回を重ねるごとに利用者は増えています。 2019年3月の国政選挙では、投票者の43.8%がインターネット投票を選択し、期日前投票の71.4%はインターネット投票です。さらに、国外居住者に限ると9割以上がネット投票を利用しており、国民にとってインターネット投票は欠かせない選択肢となっています。 参考データ:Statistics about Internet voting in Estonia 日本でインターネット投票が話題になる際に、そのメリットとして「若者を中心とした投票率の向上」が挙げられるようですが、エストニアでは、インターネット投票の実施による投票率改善への大きな貢献は確認されていません。
また、ネット投票の利用者数は25-44歳の年代が多いのですが、利用者の増加傾向は55歳以上の年代が大きくなっています。実際、投票所での投票には平均30分の時間がかかりますが、ネット投票は平均3分となっており、高齢者や外出に不便を感じる人たちにとって、ネット投票は嬉しい選択肢になるでしょう。 エストニアの政府CIOを経験したことのあるタービ・コトカ氏が指摘するように、「国民IDカード取得の義務化」も重要なポイントと言えそうです。 日本でも、インターネット投票の検討が進んでいます。2018年8月に総務省自治行政局が「投票環境の向上方策等に関する研究会報告」を公表し、「投票しにくい状況にある選挙人の投票環境向上」の中で「在外投票の利便性向上(インターネット投票)」に触れています。 上記の報告を踏まえて、平成31年度の総務省所管予算の概要には、「21.主権者教育の推進と投票しやすい環境の一層の整備」の中に「(1) 投票しやすい環境の一層の整備 2.5 (新規)」があります。 日本でインターネット投票を実現する際には、新しいチャレンジに恐れることなく、「透明性」を中心としたエストニア政府の考え方や経験を参考にして欲しいと思います。 ジェアディスでは、エストニアのインターネット投票についての勉強会の開催を検討しています。5-10人程度の少人数で、エストニアのインターネット投票について学びながら、日本で実現する際の課題や実施策などを検討するものです(全3回を予定)。参加費は、ジェアディス会員や関係者は無料、非会員は実費負担(1000円ぐらい)にしようと考えています。 興味のある方は、ジェアディスの問い合わせページよりご連絡ください。人数が集まり次第、日程を調整して実施したいと思います。 コメントの受け付けは終了しました。
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3月 2024
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一般社団法人 日本・エストニアEUデジタルソサエティ推進協議会
Japan & Estonia EU Association for Digital Society ( 略称 JEEADiS : ジェアディス)
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